放課後は保健室で
第9章 保健室で恋をしましょう
先生が保健室の隅にある洗面台を指差す。
結もそれに頷いてそちらへすたすた歩いていってしまった。
私はそれを呆然と見守る。
しばらく水の音を聞いていたが、終わって振り向いた結の手は傷一つなかった。
「な、なんだ…」
「あっちもそんな大したことないと思うよ。手加減したし。この血もほとんど鼻血だし。まあ、一週間は顔戻んないと思うけどね」
「結…」
「…ごめんね、引いた?」
ゆいの顔が若干曇った。
私はそれを振り払うように顔を横にぶんぶんと思いっきりふった。
「全然!」