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三角関係ときどき四角

第5章 天国と地獄

湯船に浸かる千夏は
少しばかりのぼせているのか
虚ろな表情を浮かべていた。


「……ぁれ?……隆哉?」


突如現れた僕に反感を持つ気力も無く
声にも覇気が無い。


手の届く範囲内には
ビニールに入ったスマホ。


陵介くんを健気に待っている証。


「あがった方がいい」

「陵介が……来るかもしれないし……」

「医者の指示に従いなさい」


医者として……夫として……
千夏を置き去りにするわけにはいかない。

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