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快盗プリキュア

第1章 チョコレートパニック with マジカルバレンタイン

「な、なんでもないよ。それよりも街はすっかりバレンタインってカンジだね」

「そうだね~。キレイな景色だね」

来海が言うように街はすっかりバレンタインカラーに染まっている。バレンタインは恋人たちの日だけど、恋人がいなくてもワクワクしてくる。

「美空も好きな人にチョコあげたりするの?」

ついに思っていたことを口に出して訊いてしまった。

「やだな~、もう。恋愛なんてまだ先だよ。来海こそ好きな人とかいるの?もしかして、そのことで悩んでいるとか?」

美空はあっけらかんと誰かにチョコをあげることを否定した。逆に好きな人のことで悩んでいるのかと訊かれて来海は胸がキュンとなった。

「わたしだって恋愛なんてまだまだだよ」
と否定しながらもドキドキしている。

好きな人のことで悩んでいるのは本当のことだ。好きな人・・?確かに美空は親友だし大好きだ。でも、このカンジ、親友以上の想いを抱いているのかなと気づいた。

美空は否定しているが、嬉しそうにチョコを作るのを見てしまった。来海が思い切ってそのことを訊いてみようとした瞬間、街は悲鳴に包まれた。

なんと街からはチョコというチョコが次々と消えていく。店のバレンタインコーナーのチョコも、恋人に渡した想いのこもった手作りチョコも、あらゆるチョコが消滅していく。

そればかりか謎の怪光線が人々をチョコに変えていく。怪光線は仲睦まじいカップルや好きな人にあげるチョコを選んでいた幸せそうな女のコをターゲットにしてチョコに変えていく。

「来海、話は後ね。街を何とかしないと」

「うん、もしかしてプレシャスの仕業なのかしら?」

厳しい顔をしてパニックの街へ向かおうとするふたりの前に香澄が駆けてきた。

「美空ちゃん、これは一体?」

「分からない。とにかく犯人を見つけ出してやめさせなくちゃ」

3人が犯人を探して駆け出そうとすると、犯人は自分から堂々と出現してきた。自分がやったことをスゴいだろうとでも言いたげに得意そうにしている。犯人はバレンタインの怪人を名乗っている。

「ワハハ、バレンタインごときでイチャイチャと浮かれ騒ぐ愚かな人間どもを制裁してくれる」

バレンタインの怪人は街行く人間をチョコに変えながら話を続ける。

「オレなんて一度もカノジョいたことないし、チョコだってもらったことないんだぞ~」

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