テキストサイズ

快盗プリキュア

第1章 チョコレートパニック with マジカルバレンタイン

「義理よ、義理の中の義理よ。それに、あたしにしてはって何よ。あたしは手作りだって完璧なねよ」

クッキング教室に通っていたことも棚に上げて香澄は大見栄を決める。
いつものように痴話喧嘩が始まってせっかくの夜景も台無しであるが、香澄にとっても涼介にとっても幸せなバレンタインディナーであった。

「来海、いつもありがとう。あたし、料理とか苦手だからさ、あんまり上手くできなかったんだけど・・」

美空は来海に手作りのチョコを渡した。
ちょっと不恰好だけど、ハートや星がいっぱいの愛が込められたチョコだ。

「美空・・わたしにくれるチョコを作るために教室にまで通ってたの?」

慣れない料理なんてしたから、あちこちケガをしている美空の手を見つめて来海は思わず涙ぐむ。

ケガをしている手を隠すようにして美空は紅くなって俯く。

「もう、バカなんだから。わたしなんかのためにこんなケガまでして・・」

来海は美空の手を取って 優しくさすってあげる。美空の想いを受け取ったようで涙が止まらない。

「来海にはマジ感謝してるんだから。来海がいるからスポーツもプリキュアも頑張れるんだよ」

「わたしだって美空と一緒で幸せだよ」

美空も来海も紅い顔をして見つめ合う。

「ごめんね、美空に好きな男の人でもできたのかと思ってジェラシーだったんだ・・」
来海は真っ赤になって自分の想ってたことを正直に打ち明けた。

「そ、そんなわけないじゃん。あたしが好きなのは来海・・」

美空も真っ赤になって自分の想いを正直に口にする。言ってしまって、しまったと想ってハッとする。

「ご、ごめん・・変な意味での好きじゃなくて💦」

真っ赤になって慌てている美空はとっても可愛い。スポーツで大活躍するかっこいい美空も素敵だけど、今の可愛い美空も好きだと来海は思う。

来海は優しく美空を抱きしめる。

「謝らないで・・わたしも美空が好きだから、美空に好きだって言ってもらって嬉しかったから」

「えっ?来海・・」

来海の告白を受け止めて美空は一瞬きょとんとしたが、ふたりは真剣に見つめ合う。

「いいの?あたしなんかで」
「美空がいいの。美空じゃなきゃイヤ」

見つめ合ったふたりは目を閉じてお互いをギュッとして自然に唇とクチビルが近づいた。
ファーストキスは甘くほろ苦いチョコレート味だった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ