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ココロノソラ

第24章 恋焦がれる。


Nside





「潤。」




「二宮せんせ...」




「また泣いてたのか…。」



「ごめんなさい...」




「謝らなくていいんだよ。
泣くのを我慢してたら笑えなくなるから」




涙でぐちゃぐちゃの顔が白衣に押し付けられる。




親もいなく家族もない親戚に引き取られた潤は
膨大なストレスで対人恐怖症に陥り親戚も手に負えずここに連れて来られた。




初めて来た潤が流した涙を見て不謹慎にも美しいと思った。


そして俺は



潤の担当医は俺になります。



といい潤の側に居れることになった。



どれくらい前だろうか




俺が病室を出ようとすると



「いかないで...」




と泣きつかれた。



その時ちょっとした遊び心で口付けをすると
間に受けた顔になりそれ以来キスをねだるように。




「んんっ...」


医師と患者。

ましては同性。


こんなこといけないのに、




「二宮せんせっ...すきっ...」




行為を繰り返す度に繰り返される
” 好き”の言葉。



俺は1度も返事したことはない。



何か、怖くて。



これは潤のため。潤がねだるから。


恋愛感情とか聞かれても毎日何人もの相手になっている。



ただ1人は...潤は...




特別扱いしたい...。



潤と向き合った結果こういう形なら、


それが正解かもしれない。




「おやすみ。」




身体を綺麗にして答えを導き出せないまま
また夜があける。



fin .

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