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ウサギちゃんとオオカミ少年

第4章 本音で話そう


僕の隣の壁に凭れて座り直す新谷君
「何で皆、付き合いだした記念日とか拘るんだろ?その日が近づくと変に成るんだ…」

「皆…試験が気になるからじゃない?」

「あんなの中1の頃、言い出した話じゃん!まぁたまに今でもするけど…」

「そんな前からエッチの試験が…!?」

「エッチ!?…誰かもそんな事言ってたなぁ…俺が試験としてヤってるのは握手するだけだよ…だって頭で考えるより、その瞬間…触りたくないかどうか分かるだろ?…前にその誰かにも言った事有るんだけど…未だに誰も信じてくれてないのかぁ…」

カウンターは動かない。彼は本心を言っている。なんだか気の毒になってきた。

「俺は君の事が気になってるのは事実で、しかも君の頬にさっき触れて嫌だと思わなかった。好きかと言われると…まだ…多分としか答えられないけど…良かったら付き合って欲しい…フリとかじゃ無くて…なんて…都合良すぎるよね…」

「でも…だって…僕…男子だけど…」

「え!?そうなの?…そういう趣味なの?オネー?」

僕はミニスカートに皮パンを履いたり、ホットパンツにロングスカーフを腰に巻いたりして、スカートの様に着ている事がある…キットそれで女子と勘違いさせてしまった事に気付いた。

「ビジュアル系ロックバンドの様な服が着たい時が有るんだ…ゴメンね」
僕は首を横に振って許しを請うた。

「じゃあ…俺の事どう思う?」

「どうって……分からないよ…こんなに人の事が気になるなんて初めてで…」
僕は自分でも驚く程、素直に思った事を言っている。新谷君の正直さが写ったのかも。

「君も俺が気になるの!?…ねぇ!試してみない?お互い気になってるんだし!」
そう言って満面の笑みを見せる新谷君の瞳が、狼が獲物を捕らえた時の様にギラリとした事に反応したのか、ヒト気の無い校舎が寒いせいか、僕の背中の毛が逆立つ様な気がした。


 

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