貴方の涙は俺が拭くから ON
第10章 吐き通せなかった嘘3 智
まだ 目の淵に涙を溜めたまま ニノが怒ってる
「俺がどんだけ悩んで、どんだけ困ってんのか おっさん知らねーだろ!」
「おっさん言うな、って!それにな、お前が困ってるのと同じ位 俺だって悩んで困ってんだよ!お前こそ、知らねーだろ、ガキ!」
言われっぱなしじゃ終わらないぞ
俺だって 何も考えてないワケじゃないんだからな、と
いつになく大声出しちゃったけど
俺の言葉を聞いたニノの瞳に力が宿って、
俺をぐっと睨み付ける
ちょっとビビった俺が後ずさりすると
すぐに身体が椅子にぶつかった
後ろ手に椅子の背もたれを掴む俺の手に ニノの手が重なる