
貴方の涙は俺が拭くから ON
第19章 忘れられない過去1 智
俺を襲った奴らは どこかへ連れて行かれ、
漸く “あぁ・・もう大丈夫なんだ・・”と実感する事が出来た
けど、その途端、ぐうっと 胃が持ち上がるような感覚に襲われ
リバースしそうになるのを、両手で口を押えて何とか防ぐ
数回堪えて、少し落ち着いたところで
服を着るように、と 優しい声で促された
まだ震える手で、 何度も失敗しながら
漸くスウェットの腰ひもを結ぶ
全部を元通りに着ても まだガタガタ震えが止まらない俺に
背中から布団を被せて、ぐるっと巻いてくれた先輩が
改めて声を掛けてくれた
