WーWING
第1章 はぁ~
ムシムシとまとわりつく湿気に不快感を覚える、7月の梅雨明け前。
緩やかな傾斜がかかる住宅街の道を、まるで富士登山をするかのように、息を切らしながら歩く、紺色の雪ダルマ型の物体があった。
かといって、それは未確認生物ではなく、れっきとした人間である。
高校3年生の相羽隼斗はいまにも転がりそうな丸い体型を、2本の足で支え、ゆっくりと自宅に向かって、坂を上る。
途中、何度も高年齢の女性が運転する、電動ではない補助輪付きの自転車に追い抜かれ、それを横目で追う。気持ちでは勝ってるものの、肉体で負けている。
「ハァハァ……なんで、ババァが乗った自転車が、こんな坂を楽々行くんだ?」
言うほどの坂道ではないからだ。
隼斗の体型は、身長が152cmで、体重が98キロの豆タンクだ。
高校入学当時は痩せていたものの、身長がコンプレックスだった隼斗は、早く成長したいと食べて食べて食べまくった。
しかも、同時に1年先輩の女子に一目惚れからの一目失恋し、やけ食い。
さらに、極度のストレスにより、前髪が薄くなり、てっぺんの方から髪を下ろして、カムフラージュ。
緩やかな傾斜がかかる住宅街の道を、まるで富士登山をするかのように、息を切らしながら歩く、紺色の雪ダルマ型の物体があった。
かといって、それは未確認生物ではなく、れっきとした人間である。
高校3年生の相羽隼斗はいまにも転がりそうな丸い体型を、2本の足で支え、ゆっくりと自宅に向かって、坂を上る。
途中、何度も高年齢の女性が運転する、電動ではない補助輪付きの自転車に追い抜かれ、それを横目で追う。気持ちでは勝ってるものの、肉体で負けている。
「ハァハァ……なんで、ババァが乗った自転車が、こんな坂を楽々行くんだ?」
言うほどの坂道ではないからだ。
隼斗の体型は、身長が152cmで、体重が98キロの豆タンクだ。
高校入学当時は痩せていたものの、身長がコンプレックスだった隼斗は、早く成長したいと食べて食べて食べまくった。
しかも、同時に1年先輩の女子に一目惚れからの一目失恋し、やけ食い。
さらに、極度のストレスにより、前髪が薄くなり、てっぺんの方から髪を下ろして、カムフラージュ。