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WーWING

第1章 はぁ~

 隼斗はしばらく見つめるが、お菓子ごと輝基の手を押し戻した。


「飯、食えなくなるぞ」


「大丈夫だよ、これ、美味いよ」


 嬉しそうに、輝基はポリポリと音をたてて菓子を食べる。


 隼斗は食べたくないわけじゃない。ただ、汗だくで帰ってきたため、水分が欲しいだけだった。


 喉がカラカラの状態で、水分を吸いとられるような菓子はちょっとキツかった。


 ラッコの大行進はクッキーの中にチョコレートが入り、表面にはラッコのイラストが描かれてある。


 数あるイラストの中で、ワキ毛のあるラッコがあった場合、願い事が叶うという都市伝説がある。


 輝基がお菓子の箱の中に手を入れ、ごそごそと探し出す。


 残り1個のラッコの大行進。


「お、最後か。いただきまーす」


 そのラッコのイラストには、ワキ毛が描かれていた。


 隼斗はそれに気が付いた。


「あっ!! やっぱ、1個くれっ!!」と輝基の手から、無理矢理奪い取る。


 隼斗はすぐさま後ろを向くと、手を合わせてラッコを間に挟み、なにやら小声で祈り出した。


「受験が身にはいらないから、僕みたいな男でも気に入ってくれる、かわいい、なんとか48的な女の子を……」

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