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WーWING

第1章 はぁ~

 階段の一段一段が高い壁に感じてくる。


 隼斗にとっては、二階までの階段は、フリークライミングだ。


 もともと運動嫌いな隼斗。学校でも、体育は苦手。


 だから、登る上る昇ることが嫌い。


 嫌いだからこそ、本来なら上がれる階段が、毎日の大きな試練に感じるのだ。


 やっとこさ部屋に到着。部屋には、もう一人、高校1年生の弟、輝基(てるき)が、自分の机に向かっている。


 相羽家はお父さん、お母さんと合わせて五人家族。しかも、輝基と美晴は男女の双子だ。


 だが、この弟輝基も、かなりのイケメンだ。美晴と双子だけあって、美男美女姉弟である。


 身長は173cm。まだまだ伸びる。


 輝基は流し目風にチラリと、横目で隼斗を見た。


「お、兄ちゃんおかえり」


「おう、早いな」


 隼斗は顔を合わさずに、部屋に入った。


 輝基は机に向かって、マンガを読みながら、チョコレート菓子の「ラッコの大行進」を食べている。


 隼斗はブレザーを脱いで、部屋着に着替える。


 輝基の腕が、隼斗の前に伸びる。その手にはラッコの大行進。


「兄ちゃん、食べなよ」と、輝基がすすめる。

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