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雪に咲く花

第10章 深いきずあと

「何も分からないくせに自分だけが苦労してるみたいな言い方するなよ。そんな恩着せがましくいうなら俺が学校やめて働けばいいんだろ!」
二人の頭ごなしの言葉に堪えきれず、涙を溢れさせ、心のうちをぶちまけた。
「美桜姉ちゃんや兄ちゃんだって人の気持ちが分からない石頭じゃないか。二人とも結局俺が邪魔なんだろ?父さんたちがいなくなったあと俺だけ見捨てたんだもんな」
突然、海斗に頬を殴られ床に飛ばされた。
「ちょっと、雪斗大丈夫?」
美紅が雪斗にかけよる。
雪斗がゆっくり立ち上がるとジャンパーをきて外に飛び出した。
「雪斗!待ってよ」
美紅が追いかけたが、雪斗の姿は見えなくなっていた。


「全く、一体どこへ?」
美紅は部屋に戻り、自分のスマートフォンで雪斗の番号を鳴らした。
開けっ放しにされた雪斗の部屋で着メロが聞こえる。
「馬鹿ね、こんなところに忘れちゃって」
部屋に放り出されたスマートフォンを手にとった。
「何これ!?……嘘でしょ!……」
画面の中で残酷に虐げられている弟の姿が目に入ったのだ。
美紅は全身が震えだし、暫く呆然と立ちつくしていた。

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