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雪に咲く花

第10章 深いきずあと

『ぎゃあぁぁぁっ!熱いっ!助けてぇぇ!』
佐々木たちが笑っている。

「いやぁぁっ!やめてっ!言うこと聞くから!助けてぇっ」
「おいっ雪斗!どうした?落ちつけよ」
「熱いっ!熱いっ!!ちゃんとしゃぶるから!お願い消してぇ!」
亘はふと蝋燭の炎を見て思い出した。
以前いじめの告白を受けたとき、蝋燭の火で体を痛めつけられたと言っていた。
蝋燭の炎によってその時の恐怖を思い出してしまったのだ。
思いきり息を吹き掛けて蝋燭の火を消した。
「雪斗、もう消したから大丈夫だ。蝋燭にトラウマがあったんだよな。ごめんな」
雪斗を抱き寄せると息づかいが荒く聞こえた。
どうやら過呼吸を起こしているようだ。
「雪斗、大丈夫だから、大丈夫だからな」
雪斗の背中をさすり続けると、ようやく息づかいが戻ってきたようである。
「とりあえず今夜は寝ような」
雪斗を抱きかかえ手探りでベッドまで運んだ。
「亘……ごめん」
雪斗が泣き声で謝る。
「何で謝るんだ。とにかく寝ろよ」
「うん。お休みなさい」
亘は雪斗が寝息を立てるのを確認すると、ベッドに伏せて眠った。

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