テキストサイズ

雪に咲く花

第10章 深いきずあと

「何だ!?停電か?」
手探りの状態で、懐中電灯をみつけてスイッチを押したが点灯しない。
電池が切れているらしい。
「雪斗、大丈夫か?」
「ここにいるよ!真っ暗で何も見えないや」
姿は見えないが声のする方向でリビングにいることを確認する。
「参ったな。こっちを使うか」
亘は蝋燭を出し、火を点けると、雪斗のいるリビングに向かった。
「よし、これで周りぐらいは見えるだろ」
「うん、亘の顔が見えた。なんかお化け屋敷みたいだ」
「百物語でもしようか?」
「季節はずれだよ。今どき流行らないって」
「それもそうだな」
冗談をいいあって笑ったが、突然雪斗の心に闇がよぎった。
橙色の炎を見た瞬間、いつかの恐怖が蘇る。
『しぶといやつだな。こいつをぶっこんでやれ』
尻に蝋燭が入れられ、火をつけられる。
蝋燭が徐々に溶け始め、炎は尻の方向に向かっていった。
『熱いっ!熱いよっ!やだあっ!消してぇっ!』
『ちゃんと奉仕するなら消してやるよ』
『するからっ!お願い!もうやだぁ!』
『ちゃんと奉仕させて下さいと言えよ』
『奉仕……させて……下さい』
佐々木たちに与えられる責め苦に負け、泣く泣く屈辱な言葉を口にしたときに、炎が尻に触れた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ