雪に咲く花
第12章 亘のきずあと
集中治療室の前までくると、柏木が椅子に腰掛けていた。
亘の顔を見ると安心したように言った。
「来てくれたんだね。良かった」
亘は雪斗や柏木とともに緊迫感に苛まれていた。
暫く時間がたった後、治療室の扉が開き医師が言った。
「関係者の方はお入り下さい」
亘たちがはいると彼の母は管に繋がれて意識不明の状態だった。
「優子さん、亘君が来てくれたよ」
柏木が声をかけると優子が微笑んだように見えた。
優子がゆっくりと瞳を開き亘を見る。
亘が優子の手を握りしめて言った。
「あんたの息子だよ。分かるか?」
優子が縦にうなづいたように見える。
「このまま死んだりするなよ。俺はあんたにまだ言いたいこと何も言ってないんだよ!」
亘が涙を流して母に訴えつづける。
「頼む。生きてくれ……母さん……」
亘が母の名前を呼んだとき、優子の瞳から涙が流れ唇がかすかに動いた。
『ごめんね。亘』
亘の耳にそのように届いた気がした。
突然、優子の心拍数のリズムが変わり暫くして亘の握りしめていた彼女の手が力をなくしていく。
医者が優子の瞼を開き光を当てて言った。
「御臨終です」
亘と言葉を交わすことが出来ず、優子は静かに息を引きとったのだ。
「母さん……」
亘は声を殺して泣いた。
亘の顔を見ると安心したように言った。
「来てくれたんだね。良かった」
亘は雪斗や柏木とともに緊迫感に苛まれていた。
暫く時間がたった後、治療室の扉が開き医師が言った。
「関係者の方はお入り下さい」
亘たちがはいると彼の母は管に繋がれて意識不明の状態だった。
「優子さん、亘君が来てくれたよ」
柏木が声をかけると優子が微笑んだように見えた。
優子がゆっくりと瞳を開き亘を見る。
亘が優子の手を握りしめて言った。
「あんたの息子だよ。分かるか?」
優子が縦にうなづいたように見える。
「このまま死んだりするなよ。俺はあんたにまだ言いたいこと何も言ってないんだよ!」
亘が涙を流して母に訴えつづける。
「頼む。生きてくれ……母さん……」
亘が母の名前を呼んだとき、優子の瞳から涙が流れ唇がかすかに動いた。
『ごめんね。亘』
亘の耳にそのように届いた気がした。
突然、優子の心拍数のリズムが変わり暫くして亘の握りしめていた彼女の手が力をなくしていく。
医者が優子の瞼を開き光を当てて言った。
「御臨終です」
亘と言葉を交わすことが出来ず、優子は静かに息を引きとったのだ。
「母さん……」
亘は声を殺して泣いた。