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雪に咲く花

第17章 曇りゆく日常

雪斗たちの願いも虚しく、亘は学校を去ることになった。
亘と出会ってから、つい先日までの幸せな日々が頭によみがえる。
あのときはあのときで、辛い出来事が多かったが、何のしがらみなく、二人の時間をすごしていた。
このまま、ずっと一緒に過ごせると思っていたのに……。
亘と会うことを、禁止されればされるほど、会いたいという気持ちは強くなる。
いけないと思いながらも、雪斗の足は亘のもとへと向かっていた。

亘の家まで、たどり着きインターホンを鳴らす。
「はい」と声がして、ドアが開き亘が顔を出した。
「雪斗……!きちゃ駄目だと言っただろう」
「亘、ごめん……。どうしても話がしたくて……」
亘はドアの外を見回すと雪斗を部屋に入れた。

「亘、これからどうするの?」
亘の入れてくれた紅茶を飲みながら雪斗は尋ねる。
「とりあえず、今、就活中だ。」
亘の部屋には、求人広告が積まれていた。
「俺、許せないよ。亘の過去を暴くなんて、絶対犯人捕まえてやるから」
「馬鹿な真似やめるんだ。危ない目に遇うかも知れないんだぞ」
「だって、このままじゃ悔しいじゃないか」
亘が雪斗をそっと抱き寄せた。

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