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雪に咲く花
第18章 崩れていく幸せ
「全く、とんだ災難だぜ」
病室のベッドで、右足に包帯を巻かれた颯人が呟いた。
「階段のところで、どっかの馬鹿が、ぶつかってきやがってよ。転げ落ちてこの様さ」
颯人は、人混みの激しい駅の階段を下りようとしていたところ、誰かに激突され、バランスを崩して階段を転げ落ちたということだ。
医者の話によると、3週間の入院の後、暫くは松葉杖の生活になるだろうという話である。
「災難だったね。なんか窮屈そう。それにしてもこんなに大きくなるんだな」
雪斗がギプスをはめられたぐるぐる巻きの包帯をつつく。
「馬鹿、触るなよ!」
「こんなに頑丈に巻いてあるから平気だよ」
「馬鹿野郎!殺す気か!」
包帯の上から軽くはたく雪斗に颯人が怒鳴った。
「ところで、亘兄とは、どうしてるんだ?」
颯人が思い出したように尋ねる。
「うん、それが……」
雪斗は、亘から、暫く自宅に来ることを禁じられたことを話してきかせた。
「そうなのか。まあ、確かにあの場所で、どいつが見張っているか分からないしな。けど、理不尽だよな」
「ほんとにな。なんか凄く悔しくてさ」
二人が話していると、線の細い少年が病室の入口できょろきょろしているのが見える。
病室のベッドで、右足に包帯を巻かれた颯人が呟いた。
「階段のところで、どっかの馬鹿が、ぶつかってきやがってよ。転げ落ちてこの様さ」
颯人は、人混みの激しい駅の階段を下りようとしていたところ、誰かに激突され、バランスを崩して階段を転げ落ちたということだ。
医者の話によると、3週間の入院の後、暫くは松葉杖の生活になるだろうという話である。
「災難だったね。なんか窮屈そう。それにしてもこんなに大きくなるんだな」
雪斗がギプスをはめられたぐるぐる巻きの包帯をつつく。
「馬鹿、触るなよ!」
「こんなに頑丈に巻いてあるから平気だよ」
「馬鹿野郎!殺す気か!」
包帯の上から軽くはたく雪斗に颯人が怒鳴った。
「ところで、亘兄とは、どうしてるんだ?」
颯人が思い出したように尋ねる。
「うん、それが……」
雪斗は、亘から、暫く自宅に来ることを禁じられたことを話してきかせた。
「そうなのか。まあ、確かにあの場所で、どいつが見張っているか分からないしな。けど、理不尽だよな」
「ほんとにな。なんか凄く悔しくてさ」
二人が話していると、線の細い少年が病室の入口できょろきょろしているのが見える。
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