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「雪斗、ごめんな」
雪斗は何か辛いことがあって、自分を訪ねて来たのかも知れない。
話を聞いて、抱きしめてやりたかった。
しかし、突然後輩である梨香が、訪ねてきたこと、自分と会うことで、雪斗まで巻き込んでしまう危険もあるという恐れから、あの時は強く突き放すしかなかったのだ。
学校での事件の真実にたどり着く鍵が、うっすらと見えてきている。
過去の母親の事件を担当した刑事を見つけ出し、様々なことを聞きだした。
母親が起こした事件は自分だけが被害者であるとばかり思っていた。
しかし、本当の被害者は、母が死なせてしまった女性と、その家族なのだ。
自分の苦しみが一杯で、そんなこと考えたこともなかった。
雪斗との、関係が発覚した後に脅迫状が送られて来るまでは……。
『人殺しの子供が幸せになる資格はない
お前の大切なものを全て壊してやる』
あの時、衝撃を受けながら読んだ文面は、強く頭に刻まれている。
元刑事の新庄の話から、たどったところでは、母が手にかけた女性の親族は身近にいたのだ。
しかも、自分ではなく雪斗の身近に……。
「とにかく、はっきりさせなければ雪斗のためにも……」
明日、ある人物を訪ねる決意をしていた。