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雪に咲く花

第24章 きずあとが癒えるまで

景色のいい公園のベンチに、雪斗は、颯人と歩とともに、座っていた。
「酷い!そんなことがあったなんて……」
光多の罠により、レイプをされたこと、また過去にも、性暴力を受け、誰かに身体に触れられるたびに、その時の恐怖を思いだし、呼吸困難に陥ってしまうことを二人に打ち明けたのだ。
「くそっ!この怪我さえなければそんなことさせなかったのによ」
颯人は悔しさがこみ上げ、石ころを蹴った。
普段は何事もなかったように過ごしている雪斗だが、自分の裸体を見た時や、誰かに身体をつかまれたりすると、恐怖が蘇り、過呼吸を起こしてしまうのだ。
浴室で、パニックを起こして以来、入浴の時は、目を瞑って素早く体を流している状態なのである。
雪斗の傷がそこまで、後遺症を残していることに、颯人も歩も、助けてやれないことに心が傷む。
「でもよ。歩は、触っても平気だったじゃないか?」
颯人が、ふと不思議に思ったのだ。
「うん、どうしてだろ?家でも、兄ちゃんが触ろうとすると息苦しくなるのに、姉ちゃんだと平気なんだ。もしかしたら、男だと駄目なのかも……」
「それって、僕は男扱いされてないということなのかな?」
歩が、微妙な顔をする。

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