テキストサイズ

雪に咲く花

第26章 それぞれのスタートライン

寒さが、やや和らぎ、季節は3月を迎えた。
雪斗と颯人は卒業を迎え、最後の高校生活となった。
「いよいよ、卒業だな」
「うん、この三年間、色々あったな」
卒業式が終わり、校舎を見回すと、3年という、長いようで短い期間に起きた出来事が思いうかんでくる。
酷いいじめに悩み、性的な暴行を受けたという残酷な出来事も多かったが、手にいれることの出来た、かけがえのないものもある。
颯人という、目付きも口も悪いが、自分を守ってくれた親友、
その恋人である、歩という優しさに溢れた後輩、
今はもう、いないが、陰ながら、自分を見守ってくれた黒沢叶多、
そして何より自分の汚点を全て受け止めてくれた亘、
彼らは、雪斗にとって大切な宝物だ。

「真柴君!」
卒業式の後、尾崎梨香が雪斗に声をかけてきた。
「今更だけど、真柴君には謝っておかなければいけないと思ったの」
梨香は、亘が学校を去った後で、雪斗が、いじめを受けてることに気付いていたが、嫉妬心から、見て見ぬふりをし、それに便乗して雪斗に辛くあたっていたのだという。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ