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雪に咲く花

第28章 新たな繋がり

「お前が勉強嫌いならそれでもいい。しかしお前の気持ちは、そうじゃないだろう!何故いつまでたっても素直に甘えようとしない!?私達を親と認めていないのか!?」
養父が、ここまで本気で自分にぶつかってきたのは初めてだった。
養父母の負担を軽くしようとした行為は、こんなにも彼らを傷つけてしまったのか?
「お義父さん、お義母さん……ごめんなさい。受験の為に二人とも色々してくれたのに……」
この時、亘は初めて養父母の前で涙を流した。
結果的に、亘は一浪してアルバイトをしながら、次の年の大学受験をすることになり、見事合格を果たしたのだ。
養父母が、それを強く望んだからである。

雪斗は、亘が一浪していることは知ってたが、頭のいい彼でも受験に失敗することはあるのだと深く考えてはいなかった。
そんな、複雑な理由が隠されていたなんて……。
改めて、知ることばかりだ。
養父が雪斗の瞳をじっくり見つめる。
「雪斗君、君は素直で嘘をつけない瞳をしている。周りに気をつかって、自分を抑えてしまう亘には、丁度良いのかも知れん」
「お義父さん!それじゃ……」
亘が養父の顔を眺めた。

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