雪に咲く花
第36章 戻らない絆
亘の家を飛び出した後、雪斗は、ふらふらと力なく歩き出した。
「亘、どうして?……酷いよ」
つい少し前まで、もう一度亘に歩み寄ろうと決意していたのに……。
彼が投げ掛けた言葉が、頭の中でこだまする。
『他の男に抱かれた君とは仲良く出来ない』
亘の口からそんな言葉は聞きたくなかった。
性的暴行を受けたあの日、ボロボロに傷ついた自分を抱きしめて癒してくれた。
しかし、今の亘は、そんな忌まわしい過去を持つ自分に嫌悪感を抱いている。
「亘の嘘つき!どんなときでも一緒にいるって言ったのに……」
自分を優しく抱きしめてくれた亘はもういない。
記憶とともに、固く結んだ絆まで消えてしまったのだ。
絶望に包まれ涙を濡らしながら歩いていると、肩に手をのせられた。
「君、どうしたの?悲しいことでもあった?俺達と遊ぼうぜ。慰めてやるよ」
二人組の柄の悪い男性に囲まれたのだ。
また、絡まれたのか。
無視して逃げ出そうとすると、腕を掴まれる。
「離して下さい。俺、男ですからナンパなら女の子にして下さい」
強気で返し、腕を振り払おうとするが、さらに力を入れてくる。
「亘、どうして?……酷いよ」
つい少し前まで、もう一度亘に歩み寄ろうと決意していたのに……。
彼が投げ掛けた言葉が、頭の中でこだまする。
『他の男に抱かれた君とは仲良く出来ない』
亘の口からそんな言葉は聞きたくなかった。
性的暴行を受けたあの日、ボロボロに傷ついた自分を抱きしめて癒してくれた。
しかし、今の亘は、そんな忌まわしい過去を持つ自分に嫌悪感を抱いている。
「亘の嘘つき!どんなときでも一緒にいるって言ったのに……」
自分を優しく抱きしめてくれた亘はもういない。
記憶とともに、固く結んだ絆まで消えてしまったのだ。
絶望に包まれ涙を濡らしながら歩いていると、肩に手をのせられた。
「君、どうしたの?悲しいことでもあった?俺達と遊ぼうぜ。慰めてやるよ」
二人組の柄の悪い男性に囲まれたのだ。
また、絡まれたのか。
無視して逃げ出そうとすると、腕を掴まれる。
「離して下さい。俺、男ですからナンパなら女の子にして下さい」
強気で返し、腕を振り払おうとするが、さらに力を入れてくる。