雪に咲く花
第39章 さよならの時
亘の家を出た後、いくあてもなく悠希はふらふらと歩いていた。
日が短いので、辺りは既に薄暗くなっている。
颯人に殴られた顔が、ずきずきと痛んだ。
「自業自得か……」
自分のしたことの罪深さを改めて感じ始める。
雪斗は自分よりずっと幸せに囲まれていると思い込んでいた。
家族からも亘からも愛されいるのだから、ひとつくらい自分に幸せが与えられてもいいと考えていたのだ。
しかし、雪斗は残酷ないじめにあったあげくに性的暴行まで受けたという。
自分も痴漢にあったことがあるが、見知らぬ男に厭らしい手で触られただけでも恐怖と吐き気を感じるものだった。
雪斗にとっては、その数百倍も恐怖に包まれたことだろう。
そんな壮絶な過去があるとは知らずに、彼の支えである亘と卑怯な手で引き裂いてしまった。
しかも、亘が母親と和解したのは雪斗のお陰だという。
二人の絆は想像以上に深いものだったのである。
「最低だよな。俺……。小説のヒロインと一緒だ」
自分の情けなさに涙が溢れてくる。
その時、バイクの走る音が聞こえ、近づいて来たかと思うと悠希の隣に止まった。
日が短いので、辺りは既に薄暗くなっている。
颯人に殴られた顔が、ずきずきと痛んだ。
「自業自得か……」
自分のしたことの罪深さを改めて感じ始める。
雪斗は自分よりずっと幸せに囲まれていると思い込んでいた。
家族からも亘からも愛されいるのだから、ひとつくらい自分に幸せが与えられてもいいと考えていたのだ。
しかし、雪斗は残酷ないじめにあったあげくに性的暴行まで受けたという。
自分も痴漢にあったことがあるが、見知らぬ男に厭らしい手で触られただけでも恐怖と吐き気を感じるものだった。
雪斗にとっては、その数百倍も恐怖に包まれたことだろう。
そんな壮絶な過去があるとは知らずに、彼の支えである亘と卑怯な手で引き裂いてしまった。
しかも、亘が母親と和解したのは雪斗のお陰だという。
二人の絆は想像以上に深いものだったのである。
「最低だよな。俺……。小説のヒロインと一緒だ」
自分の情けなさに涙が溢れてくる。
その時、バイクの走る音が聞こえ、近づいて来たかと思うと悠希の隣に止まった。