テキストサイズ

雪に咲く花

第47章 うるう年のサプライズ

2月29日は、4年に一度しかない亘の誕生日であり、彼の母の命日でもある。
亘は雪斗とともに、母の眠る墓地を訪れていた。
亘と長い間別れていた母が、ようやく再会できたのもつかの間、悲しいことに母はこの世を去ってしまった。
皮肉にも、亘の正規の誕生日が、母の命日となったのだ。
あれから、4年の月日がめぐり、亘は28歳の誕生日を迎える。

「亘とお母さん、もう少し早く会うことが出来たら、もっとたくさん話ができたのにね。俺、亘のお母さん優しそうで好きだったな」
花を供えて線香をあげ、手を合わせた後、雪斗が墓を見つめながら言った。
「そうだな。あの時の俺は母さんの気持ちも知ろうとせず、意固地になってたよ。すまなかったな母さん……。だけどな、あの時の俺は母さんの思い出を封印しなければ生きてかれなかったんだよ。だけど母さんも、ずっと苦しんでいたんだよな」
亘は母のことを思い巡らせる。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ