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kiss & cry

第15章 xA not REC-xmas EVE




A side





日付も変わろうとしているこの時間。

どうにもまっすぐ帰る気になれなくて

従兄弟の兄ちゃんの店に寄ることにした。



店の前まできて、看板に"reserved"と

書かれた札がかかってることに気づいた。



貸切ならしゃーないか・・・と

帰ろうとして、はて?と止まる。



貸切にしては店の中静かすぎない?



不思議に思って、店の裏口に回って

二度、ドアをノックしてみた。



誰も開けてくれる気配がないので、壁のパネルに

教えてもらったセキュリティコードを打ち込む。

解錠したそこはスタッフルーム。

勝手知ったるこの店の構造。



そこから一枚の扉を隔てて

お店に繋がってるんだけど…



A「やっぱお客さんいないっぽくない…?」



扉に耳をつけて、向こうの様子を探れば、

微かに人の気配はあるけど

やっぱり大人数ってわけじゃなさそう。


貸切のお客さんは帰ってんな、と結論づけて

そっと扉を開け、一歩踏み出して固まった。




お店の中央で、

溜兄(佐々倉)が誰かと抱き合ってたから。




こちら側に向いていた溜兄はいち早く俺に気づき、

その子の頭を抱きかかえてる方の手で

シーーーと口元に人差し指を立てた。



従兄弟のそんな場面に出くわし

あわあわと声も出せずにいると、

溜兄に抱きしめられているその子は、

ギュウウ、と溜兄の腰に手を回し、

ぽつりぽつりと何かを話し始めた。




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