ギムレット
第3章 ビトウィーン・ザ・シーツ あなたと夜を過ごしたい
三田村は席着くと同時に私の左手を握りながら
「今日はこの先も付き合ってくれるんだろう?」
そう私の耳元で囁いた。
「そうね……でも今日はもう遅いし、時間がないから」
そう答えた私に「時間がない?」そう三田村が聞き返してくるのが分かっていたので、私は三田村の顔を覗き込むように向き合って更に付け加えた。
「もっと……時間があるときに、ゆっくり……」
私が三田村の手を握り返すと、私の言葉にほんの少し興奮したのか汗ばんだ手で強く握り返し「ああ、そうだな」と笑みをこぼした。
その後、タクを交えて談笑を少しし、午前3時を回ったところでマスターにタクシーを頼み、程なくして迎えのタクシーが到着した。
三田村と私は店を出た。店を出るなり、三田村は私にキスをした。
何の欲情もしないキス。
だが三田村の頭の中はキスよりも、既に私の下半身を欲して興奮しているのだろう。
「また、お店で待ってます」
三田村を乗せたタクシーが走り去った後に、私はそっと唇をハンカチで拭った。