
ギムレット
第20章 スプリッツァー 真実(シュウ編)
スーツ姿の男が、俺の上にまたがっていた女の髪をわしづかみにして、放り投げた。
「ぎゃぁぁぁーーーー」
女の叫び声が響き渡り、俺は我に返った。
我に返った俺が次に見た光景は、スーツ姿の男たちは6人。
薄汚い男と女は、部屋の壁に座ったままもたれかかり、既に意識が朦朧としているような状態で、特に俺の父親である男は顔の判別も出来ないほど目と頬が腫れあがり、二人とも浅い息をしていた。
スーツ姿の男たちの中で、一際惹きつけられる男がいた。
185㎝程ある背丈は、当時の12歳の俺から見たら巨人と思われるほど背が高く見え、スラッとした体形にスーツが似合っていた。土足のまま俺の家に上がり込んではいたが、その靴は見たこともない光を放ち、黒い短髪に、腫れぼったい瞼をしているが、太い眉がその鋭い目を強調していた。
男は俺にチラッと目をやり聴きとりやすく低い声で言った。
「ガキ、パンツを穿け」
