ギムレット
第20章 スプリッツァー 真実(シュウ編)
俺はこれから巨人男から毎日3,000円の借金をしながら、新しい住居で暮らしていくことになる。巨人男と生活を共にするわけではない。
その住居は巨人男の住む家屋の奥の敷地に建てられている同じく平屋の一軒家.
同じ敷地内でも、広大な敷地だ。ほとんどお互いの家屋が見えるような距離感はなかった。
新しい住居に案内される前に巨人男は俺に言った。
「これからお前は『価値のある男』になれ。今まで学べなかったことを学び、その価値を己で見出し、お前のじいさんがわしの為に作ったこの庭のように、お前自身の力で強く生きろ。そして借金を返済し、全てが終わったら、お前の好きなようにその後の人生を生きろ」
そして最後に巨人男は初めて俺の名を呼び、自ら名乗った。
「シュウ、それがお前の新しい名だ。わしの名は桐生幸助」
ガキでもお前でも蓮でもない。
俺は、桐生幸助に新しい名前を与えられた。
桐生幸助が名付けた俺の新しい名は、シュウ。