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ギムレット

第6章 ベルモント やさしい慰め

大人の余裕なのか、自身に満ち溢れたシュウの前では、親にも甘えられなかった……


甘えてみたかった感情が私に沸いてくる。



「ごめん……メグとのこと大切にしたくて、グズグズし過ぎて出遅れた」



「まだ、間に合う?」


今日のあなたの優しさが……

私の心の奥底に棲みつく苦痛の解放を願ってしまう。



” 自分の弱さをさらけ出してしまいたい ”



シュウに見つめられて、自然と涙が溢れて頬を伝う。



頬を伝って流れ落ちる涙に、シュウは優しくキスをする。

そのまま唇が自然と私の唇に近づく。



タクの顔が頭に浮かぶ。

でも今の私には、この心の弱さを包んでくれる温かさが……



私の心が ”受け入れろ” そう囁く。





「あっ!!!」


唇が触れる寸前にシュウが声をあげた。



「口の歯の間に、出張先で食った虫の脚が引っかかってた」



ホレっ!!!と、口の中から黒い糸状の物を取り出して、私の目の前にかざした。


キャアーッ!!!と、小さな悲鳴を上げた私を見て、シュウは爆笑した。



「そんなわけないだろ、虫の脚が残ってたら、何日歯を磨かないんだよ。そこで拾った葉っぱの茎だよ」


「もうっ!!! ひどい」



さっきまでの甘いムードとは違った表情で、二人で笑い合った。



シュウは私を自分に引き寄せて、もう一度、力いっぱい抱きしめて、優しいソフトタッチのキスをした。



「メグ、笑ってて……大人な儚い笑顔なんかより、今の笑顔の方が、ずっと好きだよ」




「俺もう、メグのお兄ちゃん役、卒業して……いい?」

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