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ギムレット

第6章 ベルモント やさしい慰め

お店を出てから、まだ話したりない私たちは、小さな公園の脇で二人で話していた。



「メグ……誰か付き合ってる男、できた?」


「……どうして」


「雰囲気が変わった」



私の頭の中にタクの姿が浮かぶ。でもその姿は裸で抱き合うだけの欲望の姿だけ。


タクと私は肉体だけが繋がった関係。ただ、部屋で抱き合うだけの関係。



「そいつは、メグのこと、大切にしてくれるの?」



大切……その言葉に

私は懐かしい男(ひと)の事を思い出す。



急に私の目から涙が溢れそうになる。


それはタクと心のない空虚な肉体関係を嘆いてのものなのか?



それとも……



私の心の中に大切にしまっている懐かしい人との関係を思い出してのことなのか?




「分からない……もう、自分でも分から……」



シュウはポンポンと私の頭を撫でて言い聞かせる。


メグ  ”慰める” って漢字あるだろ。
「なぐさめる」「いたわる」って、両方とも相手を大切にして元気づけることの意で使うけど、心の悩みは「なぐさめる」、肉体の苦しみは「いたわる」って使い分けるんだ。




「もし、その両方が欠けてる相手なんだったら、俺……全力でお前を奪いにいくよ」


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