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ギムレット

第10章 スティンガー  危険な香り

メグから聞いた、その相手のことがシュウの頭から離れなかった。


「ブルーラグーン……ね」


シュウはスマホを取り出し、アドレス帳に登録されている番号に電話をした。



「ありがとうございます。スティンガーでございます」

「あっ⁉ 俺、向井って言いますけど……」


電話の向こうの男が


「向井様……って、えっ⁉ シュウか?」

「あっ‼そうそう。ってお前、ハル?」


電話の向こうの男ハルが懐かしそうな声をあげる。


「なんだよ!久しぶりじゃんか。いつ日本に帰ってきてたんだよ!」

「うん、この間ね。ってハル、お前、まだいたのね」

ハルは「うるせーよっ⁉」というお道化た態度をとった。



しばらく近況報告と雑談をした後に、シュウはおもむろに言った。


「ハル、ちょっと聞きたいことがあって電話した」

「なんだよ。聞きたいことって?」



シュウは意味ありげな顔をして電話の向こうのハルに言った。



「お前んとこにブルーラグーンのバーテン登録してない?」

「な……なんだよ」


ハルは驚いたように「個人情報が……」と言ったが、シュウに遮られる。


「俺に言うくらい、個人情報もくそもないだろ?」

「う、うん。まあ……な。まあタクは登録はしてるけど……」


シュウは、やっぱり。という顔をして「タクっていうんだ」と言った。



「ハル、お前に頼みがあるんだけど」

「なんだよ。お前が頼みって」



シュウは意味深な笑みを浮かべて電話の相手ハルに言った。


「ブルーラグーンのタクを指名したい」


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