ギムレット
第11章 *ホワイト・スパイダー 恋の罠
クソっ!と毒を吐いた後「なんなんだよ、あいつ」とタクは愚痴った。
一人、部屋に残されて、ソファーにもたれかかりながら天を仰いだ。
しばらく物思いにふけった後、体を起こしたが、顔は下に向けたまま、両手で顔を覆い隠してから、その手を髪の毛に向かってかき上げ、髪をむしり取るように掴んで呟く。
「もう……もう……ヤダ」
一瞬弱音を吐いたが、もう一度、顔を上げてから天を仰ぎ、息を大きく吸い込んでから、ゆっくりとその息を吐いて呼吸を整えてから囁いた。
「あと……あと、少し……だ」
両手の拳を固くぎゅっと握りしめ、軽く涙で湿った鋭い瞳が、その決意の程を語っていた。