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ギムレット

第11章 *ホワイト・スパイダー 恋の罠

俺と契約するかどうかはハルに伝えておいて。そう言ってタクを置いて部屋を出ようとして、あっ!そうだ。と思い出したように、もう一度振り返った。


「さっきのカクテル、スティンガーのベースを、ブランデーからウォッカに変えると?」


あぁ?とめんどくさそうな顔つきで「ウォッカ・スティンガーだろ?」とタクは答えた。


「そっ、当たりっ!」


フンっ!という顔つきでソッポを向くタクにシュウは続けて言った。


「でも別名……ホワイト・スパイダーとも言う。まあ、白い蜘蛛。だな」


怪訝な顔つきでタクは視線をシュウに向けた。


「また店に行くことあったら、注文するよ」





部屋を出てからシュウは目を細めて薄ら笑いを浮かべた。

「なかなか、手ごわそうだな」



シュウの帰り際に言ったカクテル「ホワイト・スパイダー 白い蜘蛛」

白い蜘蛛はスピリチュアル的には幸運の象徴と言われる。そして白い蜘蛛は多くの種類の虫を食べてくれる。

特に害虫ではダニを食してくれると言われている。




相手を「手ごわそう」と思いながらも、シュウの気持ちは昂っていた。


「ただ、今の俺にとって、お前は」



────ダニだ。



「俺は、白い蜘蛛のごとく、大切な人……」



そこまで言ってから、唇をキッと噛み締め、何か言葉を呟くと、険しい表情をして決意を口にした。




「お前を駆逐させてもらう」



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