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ギムレット

第13章 アフィニティ  触れ合いたい

────た……タク⁉


「あれ?タクじゃん、どうしたんだよ」

「お疲れさんです。今日は休みだったんですよ」



同じビルのお店で働いているために、店長とタクは顔馴染みだった。



「で……待ち伏せ」そう言って、いつもの魅惑的な笑顔を見せながら私に視線を合わせた。



「えっ⁉なに⁉どうゆうこと?えっ⁉タクとメグってそういう……」


店長の顔を見て、驚愕の表情とはこういう顔なのかもしれない。と思ってしまった。店長にとってはよほど驚きの組み合わせだったのだろう。


「俺が送るから、送りいらないですから」


ねっ。と私に視線を合わせた。



「マジかよ⁉ビックリだよ。俺はてっきりメグのタイプは向井さんだと……」


「店長‼」


私は咄嗟に大きな声をあげて、店長の言葉を遮った。



「誰……向井って」


タクの冷めたトーンの言葉で店長もハッ!とした顔をして焦ったのか、言葉に詰まりながら答えた。


「あっ……ええっと……客だよ客っ‼メグご指名の!ただ、若くてカッコいいからさぁ~。ただそれだけ‼それだけで俺が勝手に言っただけだからっ!怒んなよ~」


無表情に近い顔で「別に怒ってないっすよ」と店長に言うと


「じゃあ、お疲れさんです」


そう言って、私の手を握り店長に背を向けた。


タクの握る手が……少しだけ強くて……痛かった。


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