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ギムレット

第13章 アフィニティ  触れ合いたい

「たまには、源氏(居酒屋)にでも飲みに行こうか?」


そこでいい?って、またいつもの少しだけ眉をあげて魅惑的に微笑む。

その顔を見るたびに……いつも、いつも……心が動揺してしまう。



この間のことがあってから、タクと距離を置いたのに……



「ううん、今日はいい……」

「じゃあ、家で食べる?俺がなんか作ってあげる」



そうやって、私に優しく微笑むの……もうやめて

どうして?あなたはいつも、また同じことを私に繰り返させるの?

どうして?またあなたに……あなたに触れられたい。と私に思わせるの?



もう……決めなきゃいけない。

二人の間で揺れる自分の心を……

二人と同時に付き合うことは……二人同時に肉体関係を持つことは……



不器用な私にはできない……



きっと…………二人にも見抜かれてしまう。




「とりあえず、家に帰ろっか」


私の髪を撫でるようにそっと触れながら、肩を抱き寄せられた。


今……言わなきゃ、きっと言えなくなる。

もう、この関係を終わりにしないと……

家に行ったらきっと言えない……もう終わりにしなきゃ……



「た……タク……わた……し」

「今、言わないで。俺……弱いから」


────タク⁉


「だから……家に帰るまで……何にも言わないで」



私の肩を抱く手が、少しだけ強くなって……痛かった。


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