風鈴が鳴らない時
第1章 色は
今日は、ご機嫌な土曜日!なぜなら電車に乗って都内某公園で開かれるフリーマーケットに行く日だから!この日が来るのを、僕がどれだけ待ち望んできたことかっ!
最近はインターネットやフリーマーケットアプリで簡単にリユースされた物が手に入るけど、僕は…やっぱり実物を手にとって実際この目で見て確かめたい!
それに、あの場の雰囲気そのモノが…そもそも好きなんだと思う。僕にとっては宝箱の中を探検しているのと同じくらい、楽しい一時なのです!
僕は未だ空っぽに近いリュックを背負い、両手で肩紐を持ってキョロキョロしながらフリーマーケットの雰囲気を満喫していると、とある眼鏡にフと目が行った。
とてもありふれている…なんの変哲も無い眼鏡だけど…なんとなく手にとって見てみたい。
そう思って体の向きを変えたけど、僕より先に眼鏡を手に取った人が居た。仕方なく、その手に取った人が見終わる迄待つことにした。
買われちゃうかなぁ…。
チラチラと横目で確認しながら、目の前に有る商品を適当に手にとって見ていた。「この箱開けてみて良いですか?」なんて恰も興味ありげな事を言ってみたりして時間を潰して、その人が見飽きるのを待っていた。
他の店にも色々見に行きたいけど…。