じゃん・けん・ぽん!!
第17章 断章
三回戦目は、何のしこりもなく戦ってほしい。
晃仁はそう言っていた。
すでに夕闇が迫っている。薄闇の街の中を、祐子はやや重い気持ちを抱きながら歩いていた。
下校途中ではあったが、そのまま家に帰る気にはなれなかった。
自分が原因で学校中を巻き込む大騒動を引き起こしてしまっただけではなく、それを解決するために、少なくとも三人に大きな迷惑をかけていると思ったからだ。三人とは、馬渕学と、西岡晃仁と、辻村健人だ。
迷惑をかけている――と思うのは、当然ながらこれが初めてではない。空調設置派が集結した時から、なんとく厭な予感はしていたのだ。そして予想通りというべきか、裕子の手紙が誰の目にも触れることなく今日まで伸ばしてこられた代わりに、全校を荒廃に導いてしまった。
その罪悪感のようなものが、今はいっそうに重く感じられた。
晃仁が、裕子に言ったのだ。
もし、三回戦目でじゃんけんに負けても、会長が恥ずかしい目に遭わずに済むようにするために、手紙を回収してくる――と。
そのためには、人目につかないように、なるべく生徒の少ない時間帯を選ぶ必要がある。明日の朝には無事に手紙を渡すから、今日は安心して帰ってほしい――それが晃仁の言葉だった。
それなら自分も一緒にその場に居合わせたいと祐子は言ったが、それは危険かもしれないと言って、断られてしまった。
どうして手紙の回収程度のことに危険が伴うのか、それは祐子にはわからなかった。でも、どう頼んでも晃仁はうまく裕子の言葉をかわしてしまうものだから、祐子はとうとう折れて、言われたとおりにひとりで学校をあとにしたのだった。
それでもすべてを任せっきりにしていることへ、悪いと思う気持ちは晴れない。危険が伴うともなれば尚更だ。
だからまっすぐに帰る気にはなれなかった。といって、今さら戻るわけにもいかない。それで行きつ戻りつしているうちに、こんな時刻になってしまったのだった。
――せめて何かお礼ができればいいのだけど。
そう思うのだが、気の利いたことが思いつかない。
晃仁はそう言っていた。
すでに夕闇が迫っている。薄闇の街の中を、祐子はやや重い気持ちを抱きながら歩いていた。
下校途中ではあったが、そのまま家に帰る気にはなれなかった。
自分が原因で学校中を巻き込む大騒動を引き起こしてしまっただけではなく、それを解決するために、少なくとも三人に大きな迷惑をかけていると思ったからだ。三人とは、馬渕学と、西岡晃仁と、辻村健人だ。
迷惑をかけている――と思うのは、当然ながらこれが初めてではない。空調設置派が集結した時から、なんとく厭な予感はしていたのだ。そして予想通りというべきか、裕子の手紙が誰の目にも触れることなく今日まで伸ばしてこられた代わりに、全校を荒廃に導いてしまった。
その罪悪感のようなものが、今はいっそうに重く感じられた。
晃仁が、裕子に言ったのだ。
もし、三回戦目でじゃんけんに負けても、会長が恥ずかしい目に遭わずに済むようにするために、手紙を回収してくる――と。
そのためには、人目につかないように、なるべく生徒の少ない時間帯を選ぶ必要がある。明日の朝には無事に手紙を渡すから、今日は安心して帰ってほしい――それが晃仁の言葉だった。
それなら自分も一緒にその場に居合わせたいと祐子は言ったが、それは危険かもしれないと言って、断られてしまった。
どうして手紙の回収程度のことに危険が伴うのか、それは祐子にはわからなかった。でも、どう頼んでも晃仁はうまく裕子の言葉をかわしてしまうものだから、祐子はとうとう折れて、言われたとおりにひとりで学校をあとにしたのだった。
それでもすべてを任せっきりにしていることへ、悪いと思う気持ちは晴れない。危険が伴うともなれば尚更だ。
だからまっすぐに帰る気にはなれなかった。といって、今さら戻るわけにもいかない。それで行きつ戻りつしているうちに、こんな時刻になってしまったのだった。
――せめて何かお礼ができればいいのだけど。
そう思うのだが、気の利いたことが思いつかない。