じゃん・けん・ぽん!!
第15章 第2回戦
「はい」
さっきと違って、若干の余裕を心に感じながら、裕子は答えた。同じように健人も返事をする。ふたりの返事を受けて、副会長は、じゃあ、お願いしますと言った。裕子は、今回はとくに前置きをせずに、
「じゃん――」
言いながら拳を握りしめた。
「けん――」
お互いに拳をひく。そして――。
「ぽん!」
手を出しあった。
「え!」
ひやりとした。その感覚は、そのまま悪寒となって背中に張りつき、やがて全身を覆った。真夏だというのに、体がぞくぞくと震える。
健人の出した手が、パーだったからだ。
つまり、裕子は負けたのだ。
どうして――と言ったつもりだったが、声が出なかった。ただ、口だけがそう動いただけだった。そんな裕子の唇の動きから、裕子が何を言おうとしたのか、健人は察したのかもしれない。どこかばつが悪そうに、視線を宙に漂わせている。
裕子の心境をよそに、見物している生徒たちが、またどっと湧いた。
一勝一敗。引き分けだ。
健人がどうして約束を破ったのかはわからない。あるいは、晃仁は、本当は裕子を騙していたのかもしれない。どんな思惑が渦巻いているのかはわからないが、とにかくこれで勝負は三回戦目へ持ち越しとなった。何の策も巡らさずに、ただ晃仁の言葉に従って勝負に臨んだことを、今回はさすがに反省せずにはいられなかった。裕子は悔しさを噛みしめながら、演説台を降りた。
※
ふふ。
ふふふ。
ふふふふ。
さっきと違って、若干の余裕を心に感じながら、裕子は答えた。同じように健人も返事をする。ふたりの返事を受けて、副会長は、じゃあ、お願いしますと言った。裕子は、今回はとくに前置きをせずに、
「じゃん――」
言いながら拳を握りしめた。
「けん――」
お互いに拳をひく。そして――。
「ぽん!」
手を出しあった。
「え!」
ひやりとした。その感覚は、そのまま悪寒となって背中に張りつき、やがて全身を覆った。真夏だというのに、体がぞくぞくと震える。
健人の出した手が、パーだったからだ。
つまり、裕子は負けたのだ。
どうして――と言ったつもりだったが、声が出なかった。ただ、口だけがそう動いただけだった。そんな裕子の唇の動きから、裕子が何を言おうとしたのか、健人は察したのかもしれない。どこかばつが悪そうに、視線を宙に漂わせている。
裕子の心境をよそに、見物している生徒たちが、またどっと湧いた。
一勝一敗。引き分けだ。
健人がどうして約束を破ったのかはわからない。あるいは、晃仁は、本当は裕子を騙していたのかもしれない。どんな思惑が渦巻いているのかはわからないが、とにかくこれで勝負は三回戦目へ持ち越しとなった。何の策も巡らさずに、ただ晃仁の言葉に従って勝負に臨んだことを、今回はさすがに反省せずにはいられなかった。裕子は悔しさを噛みしめながら、演説台を降りた。
※
ふふ。
ふふふ。
ふふふふ。