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遠くの恋人より近くの同僚

第1章 『好き』と言えずに……

一華は渾身の力で俺の手を払いのけ
風呂どころかラブホから
出ていってしまった。


これは単なる痴話喧嘩だろうと
一華を追うこともしなかった。


『好き』という言葉を
口してしまうことに
照れ臭さや恥ずかしさもあり
その重圧に俺自身が
耐えられないと思った。


明日にでも誤解を解けばいいと
軽く考えていたが
一華は温い風呂のせいで
風邪を引いてしまったのか
体調不良で一週間会社を休み
携帯電話は留守電になっていた。

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