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遠くの恋人より近くの同僚

第31章 伝えられない想い

「それは五十嵐くんにも責任があるでしょ。
ちゃんと言えば、本田さんだって
分かってくれたはずよ」

「勝手ですが…察してほしかった。
それとなくですが、サインも送っていました。
未央なら分かってくれると思っていました」

「ねぇ、五十嵐くん。本田さんと誰を
比べているの?」


帰りの新幹線を思い出す。


五十嵐くんは成瀬さんへの
溢れる想いが抑えきれず…泣いていた。


「一華は…俺を分かってくれていました。
一人の時間を与えてくれました。
俺…一華のことが…」


カウンター越しの女将は
「店番お願いしていいかしら」と
財布を手に取り
暖簾を店内に収めると
店を出ていった。

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