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妖魔の憂鬱

第3章 壱星の願い事

「ただ奪って来るだけでは困ります
…お互いが、お互いとの性行に出来るのが一番望ましいのですが・・・」

「お互いがって?
意味わかんないんだけど」

優月の質問に頭を掻いて、照れ臭そうにする壱星。

「なんと言いますか
優月が、この家の主人とシている間、妻の見た目になれませんか?俺は、主人のふりをして妻を抱きます。そうしたら…記憶が違わないでしょ?」

「そこまでする必要有るの!?」
「はい」

優月の呆れ顔を、じっと見返して壱星は即答した。それを見て、壱星が本気で言っている事は伝わって来るのだが…優月の本音は冗談にしたくて仕方が無い。

「そんな事
意味があんの?」
「後々喧嘩になる様な事は、避けたいんです」

優月は「アホらしぃ」っと言いたげだか、気を取り直して何度目かの覚悟を決めた。そして一度短い溜め息をつき、小さく首を横に振った。

「服装や髪型は変えられても
…体格迄は無理」

見た目の若さは、精神年齢の低さを表している。それは、そのまま能力の低さに比例している。完全体なら…相手が欲情する性別と見映えに変身する事も、可能なハズの淫魔達。30才そこそこの壱星にも限界が有る変身が、ティーンエイジャーの優月に出来るハズも無い。


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