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妖魔の憂鬱

第3章 壱星の願い事

ここの主人より少し若いが、幸い壱星は背格好が似ている。あとは催婬性の体液でなんとか成るだろう。だが、まだ少女の様に華奢な腰の優月と、結婚適齢期終盤の若妻のお尻では、少々違いが有り過ぎて誤魔化しきれないものがある。

「そこは僕に任せてよぉ!」
「えっ!?」

どこからともなく声がして、壱星も優月も辺りを見回した。すると目の前の家の軒下にぶら下がっていたコウモリが、黒羽に姿を変えて2人の前にヒラリと舞い降りた。
「黒羽?」

「ね?良いでしょ?
ね?ね!?」
消えたと思っていた黒羽が、実は2人の後を付いて来ていた事に、壱星も優月も言葉を失った。

「あたし達の話をずっと聞いてたの?」
「うん!
そうだよ!」

壱星に又追い払われてもおかしくないところだが、拒絶する様な事は何も言わない2人に黒羽は気をよくして、この楽し気なパーティーに参加するヤル気は納まりそうに無かった。

「そうと決まったら作戦会議だ!
付いて来てぇ~レッツゴー!」
「シーッ!!」

声が大きい!っと壱星は指の長い手で、黒羽の口を塞いだ。塞がれても尚、話し続ける黒羽。

「モゴモゴ、ん~んーっ!
…はぁ~…んじゃ話がエキサイトしても大丈夫な所に行こぅ!」

明らかに温度差の有る3人だが、黒羽の言う事に賛同し移動する事にした。このまま住宅街の民家の前で長時間話し込むのは、余りにも不自然だ。


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