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妖魔の憂鬱

第2章 人成らざる者

優月は、生唾を飲んだ。

「もし…完全体になっちゃって
もしっ!長なんかに選ばれたらどぉすんの!?んで、もしも…そうじゃ無かったとしても気配が大きくなったら、仕事が増える事は間違い無いんじゃない?
…めんどい」

お互い譲らず、睨み合う壱星と優月の2人と…空気を読まない黒羽。

長の事も有ったが、優月にとって今の自我がどうなるか分からない一体化は、嫌悪感しか感じ無かった。

しかも、堅物の壱星となんて…あり得ない。

「え!?長になっちゃうの?
それはめんどくさいなぁ!
でも…友達が長かぁ~…ならいいかぁ~面白いカモ」

相変わらず黒羽は全力で、この一触即発の状況を楽しんでいた。

「ヴァンパイアは、少し黙っててもらえますか!?」

業を煮やした壱星が、黒羽を威嚇した。

「はいはぃ
んじゃ何時にするか決まったらおせぇて」

黒羽はコウモリに姿を変えて、その場から飛び去った。

顔を伏せて、明らかに不機嫌な優月に向かって、壱星が口を開いた。

「とりあえず
着いて来て下さい、優月」

壱星は姿を消して、話の続きが出来る所に移動する。

とりあえず壱星に着いて行く事にしたのだろう…優月も姿を消して、その場を後にした。


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