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俺は傘を差しながら校内を走っていた。
すると前方に白い傘を差した女の子が俯き加減に歩いてくるのが見えた。
こげ茶色の髪に緩いパーマをかけ、整った顔立ちの可愛らしい女の子。
俺も良く知っている子。

「相沢さん！」

「如月くん？」

相沢瞳さん

柊一とゼミが一緒で灰音と仲良しの女の子だ。

「どうしたの？そんなに慌てて…」

俺はキョトンとしている相沢さんに早口で問う。

「なあ、今日って何の日か知ってる？」

因みに今日は6月6日。

「えっ？ええと、第2次世界大戦でノルマンディー上陸作戦が決行された日？それともナポレオンの兄のジョゼフがホセ1世としてスペイン王に即位した日？」

相沢さんはいきなりトンチンカンなことを言い出す。

「いや、そういうことじゃなくて…」

「じゃあ、スウェーデンの建国記念日とか？日本だと邦楽の日？梅の日とかも…」

「それでもなくて…」

相沢さんは全く分かってないのだろう。

「そういうのじゃなくてな、もっと身近なことだよ。」

「？？？」

「今日ね、菊川兄妹の誕生日なんだって。」