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林間学校

第1章 明日から林間学校

明日から林間学校だ。
翔太はもうワクワクドキドキしていた。

夏休みになると長い間クラスの女子には会えないのだが、林間学校があると久しぶりにクラスの女子に会える。しかも、林間学校は女子と一緒にお泊まりができるんだからたまらない。

中学生の中でも林間学校がある2年生は最高だと思う。3年生は修学旅行があるけど、林間学校の方が格別だと思う。だって、大自然の中で体操服姿の女子と朝も昼も夜も行動を共にできるんだからパラダイスだよ、ハーレムだよ。

「お兄ちゃん明日から林間学校だよね。テルテル坊主を作っておいたよ」

妹の聖良(せいら)が無邪気に嬉しそうに言う。聖良とは歳が離れていてまだ小学3年生。実は血が繋がっていなくて、父親の再婚相手の連れ子である。

なるほど、軒先にはテルテル坊主がたくさん吊るされている。聖良は可愛いのが好きだからいろんな色のテルテル坊主が吊るされている。ちょうど赤が真ん中だし、テルテル坊主のスーパー戦隊みたいだ。

でも、赤いテルテル坊主を見るとノーバという怪獣を思い出す。本当に赤いテルテル坊主みたいな怪獣だ。最近はウルトラマンオーブに登場したが、昔ウルトラマンレオに登場した怪獣で、ノーバとそれを操るブラック指令を見た時に父親がやたら熱くなっていた。

そんなことより、翔太は林間学校で雨が降って欲しかった。だから、そらジローは無視してライバルのポツリンに願いをかけたところだったし、テルテル坊主の戦隊なんて迷惑以外の何者でもなかった。

だから夜聖良が寝るのを待ってテルテル坊主の戦隊を全員逆さ吊りにしてやった。

「何やってるの?」

テルテル坊主を逆さ吊りにしているとママちゃんが登場した。

「聖良ちゃんがお兄ちゃんのために一生懸命に作ってくれたのに」

ママちゃんの言う通りだ。自分勝手な都合で妹の気持ちを踏みにじるなんて人としてサイテーだと思う。さすがにママちゃんだって怒るよなと上目づかいに見るとママちゃんは悪戯っぽく笑っていた。

「雨降ってほしいんでしょ。体操服姿の女子が雨に濡れるとブラジャーは透けるし、濡れた髪はなんだか色っぽいもんね」

「そんなことじゃないよ」

翔太は真っ赤な顔をして否定するけど、分かってるんだからとママちゃんに笑い飛ばされてしまった。

確かにママちゃんが言うように不純な動機で雨が降ってほしいと思っていた。

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