テキストサイズ

林間学校

第1章 明日から林間学校

小学校の林間学校は5年生の夏にあった。
まだ父親とママちゃんが再婚したばかりの頃だ。

あの時はまだ無邪気でせっかくの林間学校だから晴れてほしいと思ってそらジローに天気になるようにお祈りしたっけ。

ところがくもジローやポツリンが勝ってしまったのかオリエンテーリングの時にザアっと雨が降ってきた。

突然の雨に男子も女子もびしょ濡れになってしまった。小学5年生といえば女子の胸が膨らみ始めてブラジャーを着け始めているコも大勢いる。

びしょ濡れになってピタリと体に密着した体操服、透けたブラジャー、そして髪が濡れた女子は色っぽい。その光景は今でも忘れることができずに心のアルバムに大切に貼ってあるし、時々オカズに使ってしまう。

不純な動機で雨が降ってほしいと思っているのはママちゃんの言う通りだ。でも何でママちゃんはそれをお見通しなんだろう。

帰ってから、雨に降られたんだって、大変だったわねとママちゃんに言われた時に別にとそっけなく言ったつもりだったのに、濡れて透けた女子の姿を思い出してニヤけてしまったかな・・。
まさかモッコリしちゃってたとか・・💦

「雨が降ってほしい翔ちゃんのキモチもよく分かるわ」とママちゃんは笑う。

「明日聖良ちゃんが起きる前に元に戻すんならテルテル坊主逆さにしてもいいわよ」

ママちゃんが笑顔でそう言ってくれたので翔太はホッと胸を撫で下ろした。

このママちゃんの笑顔は大好きだ。
母親が亡くなった時にもう一生再婚はしない、一生彼女を想って生きていくと堅く誓っていたはずの父親があっさり再婚を決めただけあって超可愛いんだ。

だからママちゃんなんて呼んでいる。
ママちゃんが来てからは友達が家に遊びに来ることも多くなった。どいつもこいつもママちゃんが目当てなのは見え見えだけど・・。中には聖良ちゃんが目当てで遊びに来るとんだロリコン野郎もいるが・・。

ママちゃんは可愛いし優しいし素敵な女性だ。もしママちゃんじゃなくて出会ってたら恋しちゃってたかな・・。ちょっと困ったところもあるんだけど・・。

「ところで、翔ちゃん」とママちゃんが甘い猫なで声を出した。

きた、と翔太は思った。この声を出してくる時は決まって迷惑なというか面倒なことが起こる予兆なのだ。

「はい、林間学校に行く翔ちゃんにプレゼントよ♥」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ