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林間学校

第3章 雨

「すぐ近くにトイレがあるわ。そこまでガマンできる?」

おしっこがしたい女子たちは綾音に頷いた。

「なんだよ~、外でした方が楽なのに。オレもしたいから立っションしちゃおうかな」とお調子者の飛男がスボンを降ろすジェスチャーをした。

コイツとは小学校は違うが、絶対にフルチンで着替えてた口だと翔太は思った。

「勝手にやってろバカ」と綾音の蹴りが飛男に炸裂する。

「さあ、急ぎましょう」

綾音の合図で男子も女子も一斉にトイレがある方へ向かって歩き出す。

「蹴らないでくれよ~、漏れちゃうだろ~、オレを置いてかないでよ~」

飛男は情けない声を出して慌てて一行の後を追いかけた。

歩きながら男子はみんな野ションが実現しなくて残念だと思っていた。そんな心中は見透かされているのか綾音を先頭に女子は不機嫌そうである。

無事にトイレに着いておしっこをしたがっていた女子ふたりはトイレに入っていった。

飛男もまた本当に漏れそうだったみたいで慌てて男子トイレに駆け込んでいった。

今頃女子トイレではパンティも脱いでおしっこをしているのかなと思うと翔太の股間もざわつき始める。

どんなふうにおしっこをするのかな?
ジャーっと豪快に勢いよく出るのか、シャーっと清流のように爽やかに出るのか、チョロチョロっと少しずつ出るのか・・

覗くのはとても無理だとしてせめて音ぐらい聞こえないかなと思って耳を澄ませてみるが、聞こえてくるのは山鳥の鳴き声ばかりであった。

「何をいやらしい顔してんのよ。女のコのおしっこでも妄想してるワケ?」

と綾音が不機嫌そうに翔太に食ってかかってきた。

「んなわけあるかよ。いやらしい顔なんてしてないし・・ただ、何で小便小僧はあるのに小便少女はないのかなと思って・・」

翔太が突然バカバカしいことを言い出すので綾音は思わず吹き出した。

ちょっと前までは小便小僧なんてあちこちにあったのだが、道徳的や倫理的な問題なのか最近は撤去されている。

バスの中でふと外を見ると公園で撤去作業中だった小便小僧が目に入ったのだが、なぜかそれが突然頭に浮かんだのだ。

「やっぱ変態だわ、あんたって。あるわけないでしょ。小便小僧みたいな下品なモノだって撤去されてるんだから」と綾音は軽蔑したように言い放った。

「ところがあるんですよ、外国には小便少女が存在する国もありまして・・」

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