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林間学校

第3章 雨

と教授がメガネをキラッと輝かせて話に割り込んできた。

教授は、本名は和也というのだが、頭脳明晰で成績はいつもトップ、しかも幅広い知識を有する物知りなので教授と呼ばれている。

「私も見たことはないのですが、小便小僧はけっこうリアルに男性器が再現されていましたので、我々男性には未知の領域である女性のそれがどう再現されているか小便少女とは実に興味深いものであります」

「そうだよな、見てみたいよな、小便少女」

メガネをキラッと輝かせて難しい言い回しで小便少女を語る教授の話に男子たちは目を爛々と輝かせて激しく同意する。

そんな男子たちの様子を綾音はわなわなと震えて拳を握りしめて見ている。

「教授、あんたもだったんかい、この変態男子どもめ」

教授も翔太も、スケベな男子一同は綾音の大成敗をくらうことになった。

「よし、無事におしっこう猶予も終わったな。それではレッツらゴー」

おしっこを済ませた飛男や女子を見て翔太は笑顔で言った。おしっこをしてきた女子たちは顔を赤らめている。

ちなみに翔太は小便をすることをふざけておしっこう猶予と言っていて、学校ではプチ流行語になっている。

「何がおしっこう猶予よ、くだらない下品なことを言うのはやめろって言ってるでしょ」

翔太はまたも綾音にしばかれてしまったが、そんなじゃれ合いみたいなことに嬉しさも感じている。

トイレを済ませてしばらく歩くと何やらポツリと冷たいものが顔に当たった気がした。

気のせいか、木の葉っぱとかの湿っていた水滴が落ちてきたのかな、虫や鳥のおしっこだったらイヤだなとか思っていたら、一瞬のうちに水滴は多くなって、たちまちザアっと激しい雨が降りだした。

天気予報では完璧に晴れだと言っていたのに山の天気は本当に変わりやすいものだ。

ポツリンやくもジローにお祈りしたのがよかったのか、テルテル坊主を逆さ吊りにしてやったのがよかったのかは分からないが、翔太の望みどおりになってしまった。

しかし激しい雨だ。
オリエンテーリングに出ていた生徒たちは逃げるように一目散にゴールや屋根のあるところを目指して走った。

翔太たちのグループはもうゴールの近くまで来ていたし、ゴールまで屋根はないのでみんな大急ぎでゴールを目指した。

ゴールに着くと急いで屋根のある集会場へ駆け込んでタオルで雨に濡れた体や頭を拭く。

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