テキストサイズ

先生の秘密

第5章 ◎三角関係

「…ていうかお前っ、唇!」
「…へ?」
あたしは指摘されて触ってみると血がいっぱい出ていた。
「…もしかして……」
先生は顔をしかめる。
「あっ、これはキスされるの拒もうとして自分で噛んだんです。」
「…はっ?…まぁ、されるよりはましだけど。お前、女の子なんだから。傷になるじゃん」
「あの時は必死で……」
あ…また怖くなってきた…。
体が少し震える。
「野崎…、」
手を引かれてまた抱きしめられる。
「考えてしまうだろうけど、今日のことはあんまり思い出すな。未遂って言っても、やっぱり絶対こわいから。できるだけ、楽しいこと考えろ。な、」
また先生が背中を叩いてくれる。
すごく、落ち着く。
あたしは無意識に先生の背中に手を回していた。
何だか先生の心拍数が急に上がった気がする。
その音を聞いてると、あたしの心拍数も上がってきた。
「…怖くなったら、いつでも頼れよ。無理すんな。」
そう言って先生は体を離した。
心なしか、先生の顔は赤かった。
「口、洗った方がいいな。水道、行くか」
先生はあたしの手首を優しく引いて教室を出る。
きっと、あたしがま
た怖くならないように。先生なりの気づかい。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ