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え?元アイドルのお従兄ちゃんがわたしのクリフェラ係ですか!?

第13章 兄の想い、弟の想い

「何?」

 夕謡は訊き返しながら違和感を感じた。頭が重い……。

「しーちゃんは夕謡のクリフェラしか知らない。だから、それがすべてだと思ってる。おれからの奉仕も受けてみたら、考えが変わるかもしれない」
「…………」

 それはそうかもしれないのだ。そして、夕謡はそれこそを恐れていた。
 詩菜を独り占めしたい。我儘だとはわかっていたが、自らの与える快楽の虜にして、縛り付けてしまいたい――。

「兄、さ」

 頭がぐらぐらする。もう違和感を無視はできなかった。
 燈多が隣ですっと立ち上がり、夕謡を哀れむように見下ろした。

「ごめん、夕謡。おまえもそうだろうけど、おれもどうしても譲れない。しーちゃんだけは、どうしても譲れないんだ」
「何を、した……」

 混濁する意識のはざまで、夕謡は必死に顔を上げ、唸った。

「兄さ……」
「ごめんな、夕謡」

 もう限界だった。夕謡はソファに倒れ込む。なんとか意識を保とうとするも、叶わない。

「……夕謡」

 燈多は弟を見下ろして、その名を呼んだ。だが、もう声は届かないようだった。
 自分が卑怯なことをしているのはわかっている。それでもこれだけは、どうしようもないのだ。

 燈多は夕謡の部屋を後にすると、そのまま詩菜の部屋に向かったのだった。

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